『果て遠き丘』[ 春の日 ](五)30 ツネがいった。その声……

ツネがいった。その声にハッとわれに返って、恵理子は車の外を見た。旭山から帰る車が数珠つなぎになっていた。車はもう、旭山の麓にきていた。警官が鋭く笛を鳴らしながら、人と車をさばいていた。恵理子たちの車は、麓の橋の上でしばらく待たされ、やがてのろのろと山に登って行った。あでやかな濃い桜が、山の斜面にいっぱいに咲き匂っている。


〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463

関連記事

  1. 『果て遠き丘』[ 蛙の声 ](五)64 「いいの、いじめられ……

  2. 『果て遠き丘』[ 蔓バラ ](二)33 扶代がハッと香也子を……

  3. 『果て遠き丘』[ 蛙の声 ](八)9 「まだ待っていてくれ……

  4. 『果て遠き丘』[ 蔓バラ ](一)1 扶代は、容一の胸から……

  5. 『塩狩峠』[ 桜の下 ]155 菊はおかしそうに笑っ……

  6. 『塩狩峠』[ かくれんぼ ]59 「はい」……

カテゴリー

アーカイブ

PAGE TOP