『果て遠き丘』[ 起伏 ](三)1 香也子はさっきからい……

香也子はさっきからいらいらとしている。いまもふいと立って洗面所にきた。恵理子の前にすわっていると、何かたまらなくなるのだ。鏡をのぞいて、香也子はパフで鼻の頭をおさえる。唇の輪郭を口紅でととのえる。ちょっと笑ってみる。われながら愛らしいと思うのだが、恵理子には勝ち目がないのだ。恵理子のしぐさが落ちついていて、表情が美しい。どこか清らかな感じがする。それが香也子の癇にさわる。


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