『果て遠き丘』[ 春の日 ](七)41 正客への茶を点て終わ……

正客への茶を点て終わって、恵理子はいま、次の客への茶を点て終わっていた。恵理子は動揺していた。まだ名も知らぬあの青年が、わざわざ茶会にきてくれた。恵理子はいい難いときめきのうちに、茶筅を軽く動かしている。泡立った薄茶を恵理子は差し出して、静かに一礼した。そしてその目を香也子にあてた。


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