『果て遠き丘』[ 蔓バラ ](三)21 (しかし……橋宮の娘……

金井としては満足すべき縁だと思っていた。その二人の間に、香也子がちらちらと姿を現すようになった。時折香也子は、予告もなしに塾に現れることがある。そんな香也子の動きを、どう受けとめるべきか、金井はそのたびに迷った。車の中で接吻を求められたことも、気まぐれといえば気まぐれに思われた。しかし、真剣と思えば真剣とも思われた。若い娘の行動はいつもそんなものだ。今夜のことだって、どこまで本気なのか。金井は警戒しながらも、心のどこかにひそかな期待があった。


〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463

関連記事

  1. 『果て遠き丘』[ 蔓バラ ](四)27 「ほう、章子さんがね……

  2. 『果て遠き丘』[ 影法師 ](七)52 「ハイヤー代だ」……

  3. 『果て遠き丘』[ 春の日 ](二)56 「もちろんよ」……

  4. 『塩狩峠』[ 菊人形 ]31 貞行は苦笑して、キセ……

  5. 『果て遠き丘』[ 春の日 ](六)3 扶代が楽しげにいった……

  6. 『塩狩峠』[ 菊人形 ]97 「でも、いい心の人と……

カテゴリー

アーカイブ