伝統文化
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](五)6 今日はツネの主催する……
今日はツネの主催する野点の会があるのだ。この二、三日ぐんと暖かい日がつづいて、今日あたりは桜が散ってしまうのではない…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](六)32 神社の下の大きな桜の……
神社の下の大きな桜の木の下に、赤い毛氈が敷かれ、野点が催されていた。桜の幹に「薫風」と墨書された短冊が貼られ、クリー…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](六)33 「お茶よ、お父さん」……
「お茶よ、お父さん」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](六)35 香也子は今朝、新聞を……
香也子は今朝、新聞をひらき、そこに、五、六行の小さな記事を見て胸をとどろかせた。それは、藤戸ツネが旭山において野点の…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](六)56 容一の手をしっかりと……
容一の手をしっかりと握ったまま、緋の毛氈に茶を点てている恵理子を、香也子はぎらぎらした目で見つめた。〈作品本文の凡例…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](六)57 「お父さん、あのお点……
「お父さん、あのお点前をしている人……」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](六)58 父の体がぴくっと動い……
父の体がぴくっと動いたのを、香也子は手に感じとった。それまで容一は、茶を飲んでいる客たちをぼんやりと眺めていた。盛り…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](六)62 あの時よりいちだんと……
あの時よりいちだんと娘らしくなった恵理子が、顔をうつむけて茶を点てている。緋の毛氈が顔に映って、恵理子の顔は幾分バラ…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](六)67 「わたし、お茶をいた……
「わたし、お茶をいただきたいの」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](六)70 「あの、わたしもお席……
「あの、わたしもお席にすわらせていただいても、いいでしょうか」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](七)4 野点の席を囲んで、ひ……
野点の席を囲んで、ひそやかに言葉をかわしている人たちにとって、それは異様なほどだった。みんなの視線が香也子に注がれた…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](七)13 人々の視線は、再び茶……
人々の視線は、再び茶席に戻っている。最後の客が、馴れぬ手つきで茶碗を口に持って行く。釜の前に坐っている恵理子も、いま…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](七)14 半東の弟子が水差しを……
半東の弟子が水差しを運んできた。席の人たちが入れ替わった。順序としていちばん初めに席にはいったのは、香也子の前にいた…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](七)15 八歳の頃から、母が家……
八歳の頃から、母が家を出て行くまでの二年ほど、香也子は祖母のツネに茶を習ったことがある。が、長じては、茶道にも華道に…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](七)16 「これから一服差しあ……
「これから一服差しあげとう存じます」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](七)17 亭主の恵理子がそうい……
亭主の恵理子がそういってお辞儀をし、正客の青年を見た。途端に恵理子の顔に血がのぼった。〈作品本文の凡例〉https://www.m…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](七)19 正客の隣の香也子は、……
正客の隣の香也子は、すばやく青年を見た。青年もちょっと顔を赤らめている。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](七)23 恵理子が柄杓を釜にい……
恵理子が柄杓を釜にいれた時、青年がいった。〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](七)24 「いいおなりのお釜で……
「いいおなりのお釜ですね」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](七)28 「今朝新聞で、お宅の……
「今朝新聞で、お宅の茶会があることを知りましてね」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](七)41 正客への茶を点て終わ……
正客への茶を点て終わって、恵理子はいま、次の客への茶を点て終わっていた。恵理子は動揺していた。まだ名も知らぬあの青年…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](七)44 恵理子の驚きを、香也……
恵理子の驚きを、香也子は満足げに見て茶碗を両手に持った。折から風が吹き、桜の花びらが緋毛氈の上に散った。〈作品本文の…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](七)45 茶席を出た香也子は、……
茶席を出た香也子は、桜の木陰にいる祖母と、母の保子を見出した。保子が笑いかけ、近よろうとした時、香也子はついと視線を…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](七)70 香也子は青年をじらし……
香也子は青年をじらしたい気がした。少し急勾配の坂道を、二人は肩を並べて登って行く。茶席の赤い毛氈が、桜や桂の木の間越…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](八)3 せっかく珍しい野点を……
せっかく珍しい野点を見ようと思っていた扶代は、あきれて容一を見た。が、咎めるものの言い方のできない女なのだ。〈作品本…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](八)8 もうここからは見えな……
もうここからは見えない茶席のほうを扶代は見上げる。近くで数人の若い男女がジンギスカン鍋を突つきながら、『知床旅情』を…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](八)18 「桜なんか、吹きとん……
「桜なんか、吹きとんじゃったよ。扶代、あの茶席はな、香也子のばあさんの席だよ」〈作品本文の凡例〉https://www.miura-tex…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](九)40 あの茶席で、香也子が……
あの茶席で、香也子が何かをしでかしたにちがいないと、容一は覚悟をしている。でもなければ、別れてから十年も経って、急に…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](十)24 「このあいだ、旭山で……
「このあいだ、旭山での野点に、あの子が現れたでしょ。あれは、偶然あそこに来合わせたのかしら」〈作品本文の凡例〉https:/…
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『果て遠き丘』[ 春の日 ](十)25 「香也子があとでいっ……
「香也子があとでいっていたがね、あの朝、新聞の『会と催し』の欄で、野点のことを知ったそうだよ。あいつ何か企んでいたら…