『果て遠き丘』[ 春の日 ](二)20 扶代は目鼻だちのパラ……

扶代は目鼻だちのパラッとした、おっとりとした女だ。それに反して章子は、伏し目勝ちな、ひっそりとした性格である。顔だちもどことなく淋しく、その唇が描いたように形がよくぬれていなければ、若い女の子らしさがないほど地味で目だたない。それがふしぎなことに、香也子のように表情の豊かな、いきいきとした女性のそばにくると、章子の輪郭がはっきりしてくる。章子の個性が生きてくるのだ。


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