『果て遠き丘』[ 蛙の声 ](七)11 フィアンセの金井政夫……

フィアンセの金井政夫のためにつくったパウンドケーキを、香也子が持ち出したといって、怒っている章子を思うと、香也子はうれしくなった。いつも控えめに、おだやかに、なんの表情も見せない章子を、香也子は憎んでいた。それは章子が表情を顔に表さないからか、母の扶代といつもむつまじく暮らしているからか、香也子はわからない。その両方に香也子は腹を立てているのかもしれない。とにかく、人を怒らせることは、香也子にとって楽しいゲームであった。


〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463

関連記事

  1. 『塩狩峠』[ 母 ]60 (ちき生、あれが妹か)……

  2. 『塩狩峠』[ 桜の下 ]196 「だって約束だからな……

  3. 『塩狩峠』[ 鏡 ]163 みなまで言わせずに貞……

  4. 『塩狩峠』[ 母 ]30 「うそだ! ぼくのお……

  5. 『塩狩峠』[ かくれんぼ ]348 信夫を見て、ふじ子は…………

  6. 『塩狩峠』[ 母 ]114 「それは、それは。嫁……

カテゴリー

アーカイブ