『果て遠き丘』[ 春の日 ](一)12 「茶道教授 藤戸ツネ……

「茶道教授 藤戸ツネ」と書いた看板のかかっている黒塀の門をはいるとき、恵理子はふり返らずにはいられなかった。再び青年が恵理子を見つめていた。恵理子は思い切って会釈をした。青年が軽く手をあげた。ただそれだけのことだった。が、恵理子の胸は急にふくらんだ。その青年には、いままで誰にも見たことのない何かがあった。それが何であるかを、恵理子は正確に言いあらわすことはできなかった。


〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463

関連記事

  1. 『塩狩峠』[ 母 ]98 「まあ、何ということ……

  2. 『果て遠き丘』[ 春の日 ](三)53 香也子は向かいの山を……

  3. 『果て遠き丘』[ 蔓バラ ](五)64 「ちょっと空港まで」……

  4. 『塩狩峠』[ 鏡 ]2 「お前はほんとうに顔……

  5. 『果て遠き丘』[ 蔓バラ ](四)33 「お父さんは何ていう……

  6. 『塩狩峠』[ 桜の下 ]194 「ああ、吉川か。ひど……

カテゴリー

アーカイブ