『果て遠き丘』[ 春の日 ](十)38 実はそのあたりが、ふ……

実はそのあたりが、ふだんの香也子を知っている容一には納得がいかない。二度と会いたくないというのは、会いたいという反語かもしれない。それなら一人で会いに行けばいいのだ。一人で会いに行くのが気おくれするなら、父親の自分だけつれていけばいいのだ。それを、後妻の扶代やつれ子の章子まで、無理矢理誘って行った。なぜ扶代や章子まで誘って行かねばならなかったか。容一はそのことが気にかかった。単純に、生母の保子や姉の恵理子を懐かしがって行ったのだとは、考えられない。しかし保子には、そうしたことまでわかりはしまい。


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