『果て遠き丘』[ 春の日 ](五)19 その翌日のことだった……

その翌日のことだった。保子にいわれて、恵理子はゴミを焼きに外に出た。ポプラから少し離れたところに、小さな焼却炉がある。癎性な保子は雑巾を使わない。ペーパーふきんで、畳でも窓の桟でも拭く。そしてその都度使い捨てにしてしまう。雑巾にさわると、手が汚れていやだと保子はいうのだ。毎日のように、玄関や襖の引き手も拭く。見る間にペーパーふきんは山となる。それを焼くのが恵理子の役目なのだ。乾くまで二、三日分をためておく。


〈作品本文の凡例〉https://www.miura-text.com/?p=2463

関連記事

  1. 『果て遠き丘』[ 蔓バラ ](五)50 「おやおや、ぼくも元……

  2. 『果て遠き丘』[ 春の日 ](十)67 「冷酷なのは男ですよ……

  3. 『果て遠き丘』[ 春の日 ](六)21 「ね、あなた、高砂台……

  4. 『果て遠き丘』[ 蔓バラ ](二)26 「じゃわからんな。わ……

  5. 『塩狩峠』[ 鏡 ]155 「ちがう。ぼくがひと……

  6. 『塩狩峠』[ 鏡 ]61 「先生……」……

カテゴリー

アーカイブ